年金シミュレーション
※年金受給を繰下げして多くもらうか
※先の事はわからないので早くもらうか
  どっち??

 まずは基本情報を把握しなければなりませんが、その前に以下の間違いを認識しましょう。

 × 人生100年時代?
  (男性平均寿命81歳
 × 2000万円必要?
  (社会保険庁のデマ)
 × 受給を遅らせた方が良い?
  (もらう側の勝手)

 国は有益情報を積極的に開示しないので、皆さん是非こちらをはじめ、いろいろな有用なサイトから入手してください。 以下は最低限把握しておくべき内容です。

・年金は受給を70歳まで先送りすると受給額が多くなる
  ※65歳からと比べて42%アップ
・逆に額が減るが60歳からの繰上げもできる
  ※65歳からと比べて30%ダウン
・国民年金と厚生年金の2階建て構造の方は一部繰下げも可能
  ※基礎年金+厚生年金
・扶養の奥さんがいる場合は加給年金の受給ができる
  ※金額は年間約39万円(毎年変動)
  ※本人が65歳から支給開始
  ※奥さんが65歳の時点で終了
  ※受給資格の要件があるので注意が必要
   加給年金について(公式サイト)

 以下の基本データは年間100万円支給の場合ですが、何歳でもらうのが得なのかというのは、 加給年金が無いと、基本受給額が変わっても同じです。
 表の中央縦列が、通常の65歳支給開始の場合の受取金額です。これの左右の列が受給開始を65歳の前又は後にした場合で、数値は65歳受給に比較した増減値です。

 65歳以前の繰上げ受給を選択した場合、減額はされますが、76歳以前に亡くなってしまったら、すぐ60歳からもらえば良かったということになります。
 70歳繰下げを行なった場合、81歳を超えると65歳受給を逆転します。 ここまで生きれば繰下げした元が取れて、それ以降は長生きするだけ得をします。
 もし繰下げして、受給前に亡くなってしまった場合は一体どうなるのでしょうか。
 そこはご心配無く、ちゃんと65歳からの期間の支給分は遺族に支払われるようです。
 金額は繰下げアップ分は含まれない、65歳から死亡までの通常支給額です。
 しかしながら、受給が開始してしまっていると、繰下げ期間の差額は支払われません。その分は丸損になります。

 例として68歳繰下げを選択した場合、実際の年齢で見てみましょう。
  ・67歳で亡くなった場合
   65〜67歳までの3年間の支給分が遺族の元へ
  ・70歳で亡くなった場合
   2年間受給済ですが、65〜67歳までの3年分は不支給

 現在60代前半の方で、繰上げ受給すべきと判断したら、急いで手続きをして下さい。

 金額リスクについて、上記の表から具体的に見ておきましょう。
60歳繰上げを選択して、90歳まで長生きすると、
 65歳支給開始だと、2600万円もらえるのに、430万円減ってしまう。
70歳繰下げを選択して、75歳で亡くなってしまうと、
 65歳支給開始だと、1100万円もらえるのに、248万円減ってしまう。

 扶養の奥さんがいらっしゃる方は、加給年金を考慮することが重要になります。
 前述の通り、繰上げ受給は、最初得することになりますが、長生きすると当然損をします。
逆に繰下げ受給は、長生きすると最後得することになりますが、そうでないと損をします。
 奥さんが年下の場合、加給年金により変わってきますので、以下を参考にしてください。
 5歳以上年下の場合、70歳まで繰下げすると、5年間の約195万を放棄することになります。 厚生年金の定額部分がもらえる年齢になると、以前は65歳以下でも受給できました。 現在この条件を満たす年齢の方は存在しません。
 以下データは年間100万円支給の場合ですので、150万や200万の方は異なります。

※奥さんが5歳年下の場合
70歳繰下げ:元がとれるのは自分が86歳
60歳繰上げ:自分が76歳以上まで生きると繰上げ損


※奥さんが10歳年下の場合
70歳繰下げ:元がとれるのは自分が86歳
60歳繰上げ:自分が76歳以上まで生きると繰上げ損

・配偶者の有無や年齢
・受給開始の年齢
・基本受給額
 の違いにより損益分岐点が変わってきますので、調べた結果を報告します。 日本人男性の平均寿命を考慮して、80〜82歳の部分を青くしています。

・繰上げも繰下げもせず65歳開始にすると損?
 これは事実です。単身者のデータを見てください。 77〜79歳のところでは、64歳繰上げと66歳繰下げ両方に比べて、65歳受給が低くなっています。
 理由は以下によります。
 ※繰上げ1年当たりの減額率は6.0%(月計算なので0.5%/月)
 ※繰下げ1年当たりの増額率は8.4%(月計算なので0.7%/月)
 つまり減額率が低く、増額率が高く設定されているので、通常支給よりお得になります。
 減額率及び増額率ともに7.2%であったなら、上記のようにはならなかったはずです。

・繰上げ受給する場合の注意
 単身者の方でも、扶養配偶者がいる方でも、損益の年齢は変わりません。
・不思議と配偶者との年齢差も関係なく、繰上げすべき年齢は同じ
 →絶対額は、加給年金の分、年齢差が大きいほど多くなります
・年金受給額によらず、年齢条件は同じ
 →当然もらえる絶対額は、基本受給額による差が発生します

・繰下げ受給する場合の注意
 配偶者との年齢差によって大きく変わりますので、十分考慮すべきです。
年齢差2歳の前後で、大きくデータが変化
 →データがピンク色になっている部分
・年齢差が大きいと、受給額が少ない人ほど、長生きしないと損する計算
・結 論
 以上は、生涯もらえるトータルを計算した結果です。
 しかしながら、果たしてそれだけで判断して良いのでしょうか。
 人によって判断基準は異なりますので、良く考えて決めるべきです。
 以下は、私の個人的意見です。

※繰上げ受給すべき方
・60歳を過ぎて収入が無く、預金を切り崩して生活している
・病弱で健康不安があり、医療費負担が大きい
・まだ元気な若いうちに、自分のやりたい事がある


※繰下げ受給すべき方
・65歳を過ぎても仕事があるか、収入が確保できる
・健康には自信があり、長生きしようと思っている
・子や孫に、少しでも多く遺産を残したい


最終結論
 昨今の状況からして、私は繰上げして受給すべきと判断した。
 ただ減額されるので、62〜63歳あたりが妥当かと思う。
 以下、その根拠である。

・制度が破たんする可能性が高い
 →根本的な改善政策が示されていない

・無茶な制度改革が行なわれる
 →75歳繰下げを検討中
 →受給開始年齢の先送りと減額の可能性

・65歳通常受給を基準に比較するのは無意味
 →長生きして、それなりにもらえれば十分

 以上です。

※追 記
@今回ここでは取り上げませんが、扶養配偶者と特に18歳以下の子供がいる場合、ご自分が亡くなった時に、遺族年金が非常に重要になります。
 他の情報サイトで、十分お調べになることをお勧め致します。
A繰上げによる減額率が0.5%/月から0.4%/月に変わります。(2022年4月より)
 但し、2022年4月に60歳前の人のみが対象のようです。
 2022年4月施行でこちらに変更